刑事事件

暴行罪における示談について|示談の重要性と共に解説

「電車でトラブルに巻き込まれ、つい相手を殴って捕まってしまった」
このような状況を解決する手段としてもっとも効果的なものは、被害者と示談することです。

では、示談することがどうして効果的なのでしょうか?また、示談する際にかかる示談金はいくらくらいなのでしょうか?

ここでは、暴行罪と示談の重要性、示談金の相場について解説します。

1.暴行罪とは

暴行罪は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に成立します(刑法208条)。

その法定刑は、次の①ないし④の中から選択されます。

①2年以下の懲役
②30万円以下の罰金
③拘留(1日以上30日未満の身体拘束)
④科料(1000円以上、1万円未満の罰金)

暴行とは、人に対する有形力(物理的な力)の行使を言います。典型的な例でいうと、素手や武器を用いて殴る蹴る、胸倉をつかむこと等が挙げられます。

水や塩を振りかけることや、耳元で大きな音を出すことも、相手に物理的な力を及ぼしているので暴行に含まれます。

物理的な力が相手に接触することは必ずしも必要ではありません。このため、包丁を振り回す行為や、相手の足元に石を投げつける行為も暴行に含まれます。

暴行罪は、「人を傷害するに至らなかったとき」、すなわち暴行を受けた相手が怪我をしなかった場合に成立します。他方、暴行をして相手に怪我を負わせた場合には、より重い傷害罪が成立します(刑法204条)。傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

2.暴行罪における示談

(1) 示談の重要性

示談とは、加害者と被害者の合意により暴行行為について和解をすることです。

示談の成立に際しては、通常、示談金が支払われます。これを支払い、示談書を取り交わします。
示談が成立することにより、加害者は、以降の刑事手続きにおいて有利に扱われることになります。

暴行事件は被害者に実害は生じていないので、被害者との示談が成立している以上、逮捕・勾留や起訴する必要はないと検察官が判断する可能性が高いのです。そして、起訴されないということは前科もつかないことになります。

万が一、起訴されたとしても、示談が成立したという事情を考慮して、量刑が軽くなることがあります。

また、示談金を支払うことで、被害者の損害を賠償したことになるため、以降損害賠償請求されることもなくなります。

一方、被害者にもメリットはあります。
被害者が加害者に損害賠償を請求する場合、話合いで解決できなければ、民事訴訟の手続きによらねばなりませんが、これには時間もコストもかかります。

しかし、話合いで示談を成立させることができれば、早期に賠償金を受け取ることができ、コストも抑えられます。

このように、示談は加害者・被害者双方にとってメリットがあるのです。

(2) 示談金の相場

示談を行う際には、示談金を支払います。
示談は当事者の合意によって成立しますので、示談金の額も被害者の意思次第ということになります。

被害者に実害が発生していない暴行罪の示談金の内容は、慰謝料が主なものとなります。慰謝料とは、被害者に発生した精神的損害に対する賠償金を言います。

暴行罪における示談金の相場は5万円から20万円程度と言われています。

もっとも、被害者の処罰感情が強くて示談を拒否しているときに、被疑者がどうしても示談を欲するなら、被害者の言い値に応じるしかありませんから、場合によっては100万円以上の高額となることもあります。要するにケースバイケースです。

被害者に対する暴行行為が何度も繰り返されてきた、あるいは、執拗に行われた場合などは被害感情が強くなり、高額の慰謝料を要求されることがあるでしょう。

一方、被害者の挑発が原因となって暴行が行われたようなケースで、被害者側も落ち度を認めているなら、比較的低額の見舞金程度でも示談に応じてくれる場合もあるでしょう。

【傷害罪の場合の示談金】
一方、傷害を負わせてしまった場合は、慰謝料に加えて治療費等の損害賠償金がかかることになります。また、損害賠償金は、怪我の程度や治療に要した期間、費用に応じて変わります。
例えば、全治1週間の打撲・ねんざよりも、全治3か月の骨折の方が賠償金は高額になります。また、怪我の後遺障害により被害者の労働能力の低下をもたらし収入が減少した場合、その減少した分の収入も支払わなければなりません。怪我で寝たきりになってしまえば、賠償金は1億円を超すこともあります。暴行行為は、このような重大な責任を負うことになりかねない傷害の結果につながりやすいので、決して軽く考えてはいけません。

3.示談を弁護士に依頼すべき理由

示談を行うのは当事者同士でも可能です。しかし、当事者同士の示談はあまりお勧めできません。

まず、当事者同士で示談をするにも、やり方がわからないといった問題が発生します。示談書には何を書けばいいか、示談金はどのくらいの額かなどは皆さんに馴染みのないことです。そのため、示談を適切に行えない可能性があります。

また、一番の問題として、暴行の加害者と被害者が示談する場合、示談がまとまらず、最悪の場合、示談交渉の場で更なるトラブルになる恐れがあります。

被害者側の感情をさらに害してしまえば、処罰を求める意思が強くなります。万一、「加害者が反省していない」などと検察官に報告されてしまえば、起訴・不起訴の判断に悪影響となるだけではありません。

検察官は、この事実を必ず裁判官に伝えますから、起訴後の裁判でも不利な情状として考慮され、刑が重くなる危険すらあります。

この点、刑事事件を専門とする弁護士に依頼すれば、被害者の心情に配慮しつつ、当該事案における適切な示談金での示談を図ってくれることが多いと言えます。

4.暴行罪の示談は泉総合法律事務所へ

暴行をしてしまった事実は反省しなければなりません。そして、反省の意をこめて、被害者と示談をすることは、自分にとっても、また、被害者にとっても良いことです。

暴行罪を犯してしまい、被害者と示談をしたいと悩んでいる方は、どうぞお早めにご相談ください。

泉総合法律事務所は、刑事事件の解決に非常に力を入れています。暴行事件や傷害事件などの暴力事件についても多くの解決実績がありますので、もしお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度1時間の無料相談をご利用いただければと思います。

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